日本の自動車デザインはここ20年ほど、迷走しています。
(私見ですよ)
20年前、何があったかといいますと。
あの「ウィッシュ事件」(2003年)です。
ホンダの「ストリーム」(2000年10月発売)が売れまくっていました。
ところが、トヨタがストリームと同サイズ同コンセプトの「ウィッシュ」を発売します。
ストリーム発売の2年3か月後のことでした。
ウィッシュは、ストリーム以上によく売れました。
「トヨタお得意の、ライバルつぶしだ!」
そう思ったのは、私だけではないでしょう。
怒った?ホンダが「ポリシーは、あるか」という広告を出したことは有名です。
あの事件以後、ホンダのデザインは変わりました。
「いい車を出しても、トヨタにマネされて、つぶされる」
「外観だけでも、トヨタがマネできない尖ったものにしよう」
ホンダデザインは、そういう路線になりました(私見ですよ)。
それまでのホンダデザインは「まっとうで美しい」という路線でした。
初代シティは「ピニンファリーナのデザイン?」とまで言われたものです。
それが、変わってしまったのです。
まっとうなデザインは「ザッツ」(2002年発売)が最後となりました。
ウィッシュ事件以後、ホンダデザインは「美しい」を捨てました。
それは、長い間続きました。
販売のためには、正解だったのかもしれません。
ザッツは、あまり売れなかったのです。
その一方、日産・二代目エルグランド(2002年発売)は「オラオラ顔」が当たって、よく売れました。
そして、トヨタも他社も次第に「オラオラ顔」路線へシフトしていきました。
顔だけでなく、全体が醜くなっていきました(私見ですよ)。
私が「失われた20年」と言うのは、この時期のことなのです。
今では、日本の街は醜い車だらけになっています(私見ですよ)。
そんな中にあって、ホンダデザインは近年「美しい」路線に戻りつつあります。
(全車ではありませんが)
ホンダe、ステップワゴン、N-BOXという最近のホンダ車を見ていると、思うのです。
「20年前に戻ったかな」と。
さて、日経平均株価の話です。
久々に高騰しています。
「失われた30年を取り戻す!」なんて言う人がいます。
まさか。
円ベースで30年前に「戻った」というだけなのです。
ドルベースではまだ戻っていないのです。
アメリカの株価は、この30年で13倍になったのです。
少なくとも日本株が今の10倍になるまでは「取り戻した」とは言えないでしょう。
それまで何年かかるのでしょうか。
そもそも、そんな日は来るのでしょうか。
来たとしても、その時アメリカの株価はもっと先に行っているのではないでしょうか。
自動車デザインの話に戻ります。
最近のホンダデザインも、日経平均同様「戻った」というレベルだと思うのです。
ザッツの後、正常に進化していれば、20年後の今はもっと新しく美しくなっていたはずです。
ザッツの後、自動車デザインは迷走してばかりで進歩してこなかったのです。
「戻った」だけであり、20年分の遅れを「取り戻した」わけではありません。
日経平均は30年前の株価(円ベースですが)を超えて先へ進めるのでしょうか。
今は、その瀬戸際なのかもしれません。
自動車デザインは、どうなのでしょう。
ホンダeも、ステップワゴンも、売れ行きは芳しくありません。
「失われた20年」は取り戻せるのでしょうか。
(補足)
「失われた20年」の中にあって、最もまっとうなデザインをしていたのは、マツダです。
(私見ですよ)
(マツダ車全部ではありませんよ)
本ブログでは、今までマツダ車をホメたことはありません。
実用性が犠牲にされている、と感じることが多々あるからです。
でも、他社ほど街の景観を汚染していないことは、大いに評価しています。
この20年間でデザインを進歩させた唯一のメーカー、と言っても良いかもしれません。
マツダとホンダが先頭に立って「失われた20年」を取り戻して欲しい、と思っています。
(蛇足)
昨日、こんな記事を見つけました。
「失われた20年」のさなかに出たものです。
プロの中にも、私と同じように感じている人がいたのでした。
こういう記事がもっと増えてほしいのですが。
やっぱり無理なのかなあ。
最近のコメント