アイヌ文化に驚く ~「アイヌの美しき手仕事」展~
豊田市民芸館まで行って、見てきました。
アイヌの人々による刺繍、装飾品、実用品等が展示されていました。
驚愕しました。
失礼な言い方ですが、レベルが高いのです。
今の時代でも通用するセンスです。
仕事は細やかで丁寧です。
アイヌの人々は、身の周りのモノ一つ一つに祈りを込めていたのでしょう。
それは、今の日本人からほぼ失われた感覚でしょう。
「タバコをすってたんだ!」
「縫い針を使ってたんだ!」
「ガラス玉がある!」
「木綿の生地だ!」
こういったことにも、いちいち驚いてしまいました。
アイヌの人々は、交易によって外部からいろいろなものを取り入れて、使いこなしていたのでしょう。
私は社会科教師なので、アイヌについて基本的な知識はあるつもりでした。
北海道旅行の際にいろんな展示を見たこともあります。
しかし、私の知識はどうも偏っていたようです。
「アイヌは自給的な生活をしていた」
「自然と共生していた」
そこから導き出されるイメージは「原始的」でした。
しかし、今回の展示は全く原始的ではなかったのです。
私が特に目を奪われたのが、木彫品でした。
現代の職人が作るものにまったくひけを取りません。
この写真は、団子べらだそうです。
こんな所にまで模様が彫ってあります。
3番目の写真に出ている椀も、底にこのような模様が彫ってありました。
こんな所にも「祈りを込めた生活」の様子がうかがえます。
このような文化や精神性を持っていた人々を、ほぼ絶滅させてしまった日本人は、なんと罪深いことをしたのでしょう!
今さらながらに、そのことに思いをはせました。
今回の展示は、民芸運動の祖である柳宗悦と芹沢銈介の収集品が基になっています。
私が高校生の時、教科書に柳宗悦の文章が載っていました。
日本が朝鮮を併合した時代に、光化門の保護を訴えた文章でした。
柳氏は、朝鮮だけでなく、沖縄や台湾の文化の保護も訴えています。
アイヌの工芸品を収集したのは、氏にとっては自然なことだったのでしょう。
氏は、偏見や先入観にとらわれず「美しいものは美しい」と判断することができたのです。
いろんなことに興味関心が広がる展示でした。
いろんなことを考えさせられた展示でした。
豊田市民芸館で、12月15日まで開かれています。
(余談)
芹沢銈介氏もアイヌ工芸品を収集していたそうです。
実は、以前から芹沢氏の染色に興味がありました。
芹沢銈介美術館は静岡市という微妙な距離にあるので、今まで行けずにおりました。
しかし、今回のアイヌ展でふんぎりがつきました。
これは、ぜひ静岡市まで行かねばなりません。
| 固定リンク
「その他」カテゴリの記事
- 「民藝 MINGEI-美は暮らしの中にある-」(名古屋市美術館)(2024.12.11)
- 日本「MM」カーオブザイヤー発表!(2024.12.08)
- 日本「MM」カーオブザイヤー 特別賞を発表(2024.12.06)
- 8年使ったiPadの延命(2024.12.05)
- 何度でもNBOXを讃える ~床と見切りの低さの話~(2024.12.04)
「豊田市の魅力」カテゴリの記事
- 桜の季節です ~小原以外でも四季桜~(2024.11.22)
- 他県から来る価値あり! ~「旅するジョウモンさん」豊田市博物館~(2024.10.16)
- アイヌ文化に驚く ~「アイヌの美しき手仕事」展~(2024.10.14)
- 美しすぎて、買ってしまいます ~紀平佳丈 木の器展~(2024.09.12)
- 「或る賞鑑家の眼 -大久保裕司の蒐集品-」 ~豊田市民芸館 特別展~(2024.07.20)
コメント