●予言のその後
初代のゴジラは、秘蔵されていた装置により退治されます。
周囲が喜びにわく中で、山根先生は、こうつぶやくのです。
「あのゴジラが最後の一匹とは思えない。
もし水爆実験が続けて行われるとしたら、あのゴジラの同類がまた世界のどこかへ現れてくるかもしれない。」
この映画が公開されたのは、1954年です。
アメリカの水爆実験成功は、1952年。
ソ連の水爆実験が、1953年。
初代『ゴジラ』は、こういう時代に公開されたのでした。
当時の人々にとって、山根先生の予言はフィクションと片づけられないものだったことでしょう。
実際には、米ソの水爆実験は続けられました。
さらに1955年には、英仏が水爆製造計画を発表。
中国も、1967年に水爆実験に成功。
北朝鮮は、2016年に水爆実験に成功したと発表しています。
これが原爆となると、更にリストが長くなります。
しかも最近の世界情勢は、実験どころか核兵器が使われる恐れが高まっています。
●「ゴジラの同類」とは何か
山根先生の予言の前半は、現実となったのです。
では、後半はどうなのでしょう。
私は「ゴジラのような怪獣が現れる」と言いたいのではありません。
ゴジラのような国や指導者が現れることを問題にしたいのです。
「すでに現れている」という見方もあるでしょう。
「まだゴジラにはなっていない、これからだ」
そういう見方もあるでしょう。
核兵器を使う恐れがある国は、核実験をして、核兵器を持っています。
だからこそ、強気に出られるのでしょう。
これこそ正に「核実験が生んだ、ゴジラの同類」ではありませんか。
彼らは、本当に核兵器を使うのでしょうか。
その後、報復の核攻撃はあるのでしょうか。
ゴジラによる被害の何十倍、何百倍もの被害が、出てしまうのでしょうか。
●余談その1
先日『ゴジラ-1.0』がTV放送されました。
初代『ゴジラ』を踏まえた内容ではありますが、山根先生の予言はスルーされています。
『-1.0』は続編が作られるそうです。
初代のように、今の世界情勢を踏まえた作品になって欲しいと思います。
●余談その2
初代も『-1.0』も、最後は1人が命がけ、もしくは命と引き換えにゴジラを退治します。
私がここで想起するのは、先日訪れた郡上八幡城です。
城の工事が難航したので、若い女性を人柱にしたという話があります。
近代になっても、宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』なんてのがありますね。
こういうのって、日本人のハートに訴えるものがあるのでしょう。
外国の人々、どう受け止めているのでしょうね。
私としては「次作は違う解決方法をとって欲しいな」と思っています。
最近のコメント