指示しない監督の思い出 ~『プロフェッショナル 少年野球監督 辻正人』を見て~
「ガチガチの管理野球をして勝てなかったのが、ノーサインにしたら勝てるようになった」
それがこの番組のキモの一つでしょう。
これを見ていて、私は昔見たある試合を思い出していました。
小学生のバスケットボールの、地区決勝戦でした。
一方のチームの監督は私が「神様」と思っている人です。
当時「魔術師」と「神様」は別格の監督でした。
転勤先の学校をことごとく強豪校にしてしまうのです。
(残念ながら私はその域に達することができませんでした)
「神様」は、後にミニバスの監督になります。
全国大会優勝が当たり前、というチームを破って、愛知県大会で1番になりました。
そういうレベルの監督です。
当時の「神様」は、型にハメる指導をしていたと思います。
シュートを打っても良い子は、決まっていました。
お前は、リバウンドを取るだけ。
お前は、ディフェンスをがんばるだけ。
そう決まっていました。
その子の優れたところだけを発揮させる指導、ということでしょうか。
さて、その決勝戦です。
後半(まだ4クオーター制になる前でした)も残りあと少しです。
「神様」のチームは小差でリードされていました。
今の流れでは、逆転できそうにありません。
「神様」は立ち上がって、こう叫びました。
「フリーオフェンス!自由にやっていい!」
今までの決まりごとを捨てて、自由に攻めていい、と言うのです。
今回の放送でも、辻監督が試合中に「自由」と叫ぶ場面がありましたね。
驚いたことに、「神様」のチームは、そこから逆転したのです。
用意周到な「神様」のことですから、フリーオフェンスに切り替えることは練習済みだったのかもしれません。
まあ、それにしても。
子どもたちは「神様」のプランを超えた活躍をしたのです。
従業員を駒としか考えていないブラック企業の経営者に見せたい番組でした。
子どもでさえ、自発性の力はスゴいのです。
従業員の自発性を発揮させれば、みんなもっとできるはずなのですよ、社長。
【蛇足】
今ごろ、この番組にツッコミを書いている人もいるでしょうね。
「なんで小学生の全国大会や世界大会があるんだ!」
「結局それに勝つための方法としてノーサインにしているだけだろ!」等々。
まあ、まあ(^^;)。
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